ちびまる子ちゃんの考え事

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ろはあちこち痛いが

「ックで入れ替わりが起こりゃすくなりますねん。ぶつかったとか、ふたり一緒《いっしょ》にコケたとか、なんかあったんとちゃいまっか?」
 しれっと言ってのけるところが憎《にく》たらしい。
 階段を落ちたときにできた打ち身のせいで、身体があちこち痛いことも手伝って、機嫌《きげん》の悪さはMAXだ。
「体質変化ですってぇっ!? そんなこと、聞いてなかったわよっ!! じゃあ、しょっちゅう、こういうことが起こるってコトじゃないのっ!?」
 かっとなったゆり絵は、あとずさって助走|距離《きょり》を取った。デビルベアは手が届かないと思っているようだが、僚は身体能力が高いから、なんとかなるかもしれない。
 短距離ながら全力|疾走《しっそう》して高跳びの選手のように跳びあがった。
 デビルベアに向かって思い切り手を伸《の》ばす。
「な、何をしはる気やっ!?」
 デビルベアは顔色を変えると上空に向かって逃《に》げようとした。だが、少し遅《おそ》かった。少年の指先がぬいぐるみの足をはっしとつかむ。
 ——わっ、すごいっ。届いたわ。僚って、やっぱり運動神経がいいんだわ!
 ぶつけたところはあちこち痛いが、健康な少年の体に入っているのは楽しい。体が思うように動く快感といったらない。
「ほうら、捕《つか》まえた」
 ゆり絵は、リボンの端《はし》を両手で持つと、勢い良く左右に引いた。
「う、うわーっ、うわうわ、うあーっ。ぎゃーっ」
 首を絞《し》められたデビルベアは悲鳴をあげ、じたばたとぬいぐるみの手足を動かした。
「ぎょえーっ、ぐわーっ、ぎゅーっ」
 詰《つ》め襟《えり》の少年は、リボンを持って振《ふ》り回し、バンバンと校舎の壁に打ちつけてから、ぬいぐるみの顔を見た。
「責任を取りなさいね?」
 デビルベアはパクパクと口を動かしているが、声が出ない様子だ。ゆり絵は、締《し》めあげていたリボンを少し緩《ゆる》めた。
「うぐっ……はぁはぁ、ふたりで抱《だ》き合って階段落ちでもしはったらどうでっか? あっさり戻《もど》りまっせ」
「いやよ。そんなの。痛いじゃない? ケガしたらどうするのよっ。あっ、そうだわ……そんなので戻るってコトは、君、必要ないわねっ。……じゃあ、合わせ鏡しなくってもいいよねぇ」
 デビルベアの顔色がさーっと青くなった。比喩《ひゆ》ではない。茶色のモコモコした布でできたぬいぐるみの顔が、すうっと青白く染まったのである。
「ワシ、ワシ、あんたはんの望み、叶《かな》えたったやおへんか。あ、合わせ鏡するって約束やったやないかっ。そやのに、合わせ鏡、してくれへんかった……。ひどいひどいっ、鬼やーっ、悪魔《あくま》やーっ。恐《おそ》ろしいっ!!」
「よくもそんなことが言えるわね。あんたのおかげでひっかきまわされて大変だったのよ」
 すごんでやると、デビルベアは、ガタガタとふるえ始めた。
「ひーっ、ひぃ……、ひぃ……」
 ぬいぐるみの黒い瞳《ひとみ》が濡《ぬ》れ、米粒《こめつぶ》のような涙《なみだ》がポロポロと噴《ふ》きこぼれる。


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